怯える街 --怪訝の言の葉-- 5 


その後ノリコは、今度の事件について、イザークから詳しい事情を聞いた。
町長の所業や盗賊のやり口にそれはそれは呆れてしまったが、いつの時代も、そして何処の世界でも、人の欲が世の中を こんな風に悪くしてしまうのだと、そして、善良な人々をも苦しめてしまうのだと・・・、自分の世界のことを思い出しながら、 ノリコはそんな風に考えた。


そしてイザークは、結局その後一週間ほどその宿に留まったのだが、今までの彼からすれば、ひとところにそんなに長く留まったのは、 恐らくこれが初めてかもしれない。だが、キナジスの薬効が抜けた後のリハビリがノリコに必要だったのと、イザークが彼女の身の 快復を最優先させた事が、滞在を延ばした最大の理由だ。


ベッドに半身を起こせるようになってから、ノリコはおかみとこんな話をした。

「とにかく、元気になってきて良かったよ。ホントに・・あんたには申し訳ない事しちまったねぇ・・」
「あ・・・いいえ、もう・・・だいじょぶ。・・・だから・・」

イザークから、「おかみはシロだ」と聞かされていたので、ノリコは自然、笑顔でおかみに応えることが出来た。
ノリコのそんな穏やかな笑顔に感心しながら、おかみはイザークのことも口達者に語る。

「しかし、あんたの彼氏は大したもんだねぇ・・・あんたの為にいろいろ世話を焼いてる。余程あんたのことが大事
 なんだろ・・・」
「え・・・」

その言葉にノリコは赤くなる。だが、すぐに両手を振りながら、否定の言葉をつないだ。

「いえ・・・イザークは、違う・・・あたしと・・・そんなんじゃないです・・」
「でもねぇ、普通あそこまでは出来ないよ?薬草を採りに早朝に山に入ったりさ、出来るだけの事をあんたにし
 てやりたいんじゃないのかねぇ?」

おかみの言葉をノリコは有難く受け取る。だが、やはり最後はこう言葉を結ぶ。

「ありがと・・ございます。・・・でも、・・・きっと・・・放っておけない・・・それだけ。・・イザーク・・優しい・・だか ら・・・」

おかみはノリコの話すことを聞き、それ以上は何も言わなかったが、

(・・・その≪放っておけない≫っていうのが、そもそもの愛情の始まりだって・・・相場は決まってるんだけどねぇ・・・)

と、ニヤリと笑いながら、そんな事を考えずにはいられなかった。

おかみにはあんな事を言ってはみたが、今回、身体が快復するまでイザークが傍にいてくれたという事が、ノリコにとって 嬉しくて堪らなかったというのは確かだ。彼が無事だったというのが嬉しいのは勿論だが、目が覚めるといつもベッド脇に彼がいてくれた事が、本当に嬉しかったのだ。
自分の快復が遅い所為で、迷惑を掛けてしまったという申し訳ない思いも勿論あるのだが、時にそっけなくても彼のそうした 優しい面に触れていられるのは、ノリコにとっては、これまでで一番幸せだと感じられた時間だったかもしれない。
そして、イザークがノリコの世話やリハビリの面倒を見る姿は、誰が見ても微笑ましい光景だった。ノリコもイザークの言う事にはいつも素直に 従っていたし、何よりも彼を心から信頼していた。
心の安定が体調の快復にも一役も二役も買ったと言えるだろう。それほど、≪あの日≫以来、彼女の身体の快復は順調に進んだ。

だが、宿のおかみのいろんな突っ込みや冷やかしに対しても、イザークは一言、

「・・・だから・・・俺はこいつとは何でもない・・」

と言って周囲を閉口させた。

だが、そう言った時の彼の顔が若干赤くなっていたのをおかみは見逃さず、やはりふふんと笑いをこぼすのを忘れなかった。






そして、一週間の後―――――


「ノリコ、そろそろ行くぞ・・・大丈夫か?」

イザークの呼ぶ声に、振り返ったノリコは笑顔で応える。

「うん。だいじょぶ・・」

そして、鞄を肩に掛け、イザークの傍までトコトコと歩いて来た。

「ありがと、イザーク・・」

病み上がりではあったが、その頬には赤みが差しており、機嫌も体調も良かった。

イザークは、輝くような満面の笑顔のノリコに一瞬言葉を失う。

・・・だがすぐに、

「いや・・・、じゃあ、行くぞ・・」

と短く応え、そして二人は宿を後にした。


宿を出る際、イザークはおかみにこんな言葉を掛けられた。

「あんたも大したもんだ。なんだかんだ言っても、ちゃんとあの子の事を考えてるじゃないか。これからも大事にし
 てやんなよ?」

イザークは、彼女とはそんなんじゃないんだ・・・と再度思ったが、小さなため息を一つ吐いただけで、おかみに苦言を言うのは止めた。 どんなに言葉を並べたところで、このおかみが相手ではまったくの無駄骨に終わりそうだという気がしたし、 おかみの言っている事の全てを否みきれない・・・というのも、正直なところ感じていた。

自分にとって、【目覚め】である彼女は、本来その存在すら疎ましい筈であったのに、一緒に過ごして来た事で、 何かが少しずつ自分の中で変わって来ているという事に、彼自身も気がついていた。

ただ、それが何であり、そしてそれが何を意味するのか・・・
まだはっきりとした答えが出せる訳ではなかったが・・・

答えが出せない理由、それは、――自分は彼女と一緒にいてはいけないのだ――という思いが、彼の心の大部分を占めて いたからに他ならないだろう。彼女の【目覚め】・・・それが自分の破滅、延いてはこの世の破滅へと繋がるのだと捉えていたから。
それに、自分の中の≪そいつ≫が目覚めた時・・・彼女をこの手に掛けぬという保障はない・・・
そんな事など絶対にあってはならないのだ。だから、苦しい選択を強いられるよりは離れた方が良いのだと・・・
彼女と離れる事で、この戸惑いを含め、あらゆる煩いからも、きっと開放されるだろう・・・―――――と・・・





町にはまた人々の声が溢れ、賑わいを見せていた。

街中では市が立っており、山の産物や、工芸品などが中心に天幕が続いており、客を呼ぶ売り子の声が飛び交い、 旅の者や、町の住人達も繰り出したりで活気に溢れている。
その中には、綺麗な装飾品を売る天幕があった。木彫りのものや、この山の向こうの更に奥にあるシダ山から採れる貴重な鉱石を使って作った 飾り物などが人々の目を引いている。そしてその天幕からも、客を呼ぶ声が聞こえて来ていた。

イザークとノリコも、峠に向かう前にこの市を覗きに来ており、その天幕の前も通り掛かったところだ。

「そこのお嬢さん、可愛らしいねぇ。この飾り石はどうだい?お客さんにピッタリだよ。ちょっと試していかないかい?」

ノリコの姿を見かけた女店主の明るい声。イザークは足を止め、並べられている品物に目を遣る。そして、その中の一つを見、

「すまないが、それを見せてくれるか?」

そう店主に声を掛けた。

「ああ、これだね?いいとも。・・お客さん、あんたなかなかの目利きだねぇ、」

その品物をイザークに手渡しながら、店主は言葉を続ける。

「それは、この辺でも、あのシダ山でしか採れない逸品だ。とても良い物だし細工も丁寧だよ。その彼女にきっ
 とよく似合うよ。どうだね?」

イザークはその品物をよく見ると、天幕の端で遠慮がちにこちらを伺っていたノリコを呼んだ。

「ノリコ、ちょっと来てみろ」
「え・・・はぃ・・」

傍に来たノリコの首に、イザークはその飾り石を掛けてやる。イザークの長い指が彼女の髪に触れ、その首の後ろで止め具をカチリと留める。

「・・・イザーク・・」
「・・ああ、やはり似合うな」

言いながらイザークは微笑う。その笑顔に、ノリコは不意打ちを食らったようにドギマギした。

「ああホントに、よく似合ってるよ!彼女の可愛らしさを引き立ててるね!」
「貰おう。幾らだ?」
「ああ、それは護り石にもなるからちょっとだけ値が張るよ?彼氏の方の財布の中身は大丈夫かい?」

店主の言葉にイザークは苦笑いを漏らす。だがあえて否定はせず、「彼氏」という言葉を受け流した。
若い男女の二人連れが傍からどう見られているか・・・そんな事など大方想像がつくし、こちらの事情を知らない者に いちいち説明して回る義理もない。単にその都度説明するのが面倒になってきた・・・という感も否めなかったが。

店主の言葉に、すかさずイザークは返しの言葉をつないだ。

「俺の財布が吹っ飛んでしまうほどの額なのか?」
「はっはっは!吹っ飛んじまうような寂しい懐なのかい?・・・そうだねぇ、町にも活気が戻ってきたし、今日は
 負けといてやるよ。いつもなら三百ゾルと言いたいところだがね、特別に、その半額でどうだぃ?」
「・・・商売上手だな」

微笑いながら、イザークは懐から財布を取り出した。

だが半額でも百五十ゾル!・・・ノリコは目が飛び出る思いがした。たかだか飾り物に、そんなにお金は掛けられない・・・

「イザークっ、高いよ。あの、あたし、いいよ・・こんな、高価な・・・」

しかしイザークは、ノリコの言葉にもその表情を変えない。

「ノリコ」
「・・は、はぃ・・・」
「あんたによく似合ってる。だから、買おうと決めた。値は気にするな・・・」
「でも・・・・」
「あの時の報酬が入ったからな・・」

そう言いながらイザークは、やや悪戯に微笑う。

「イザーク・・・」

実は、イザークは前金として受け取っていたあの報酬を、町に返還する旨申し出ていた。だが、町の危機を救ってくれた礼として 少ないが是非受け取って欲しいと、この町の町長代理が返還を受け付けてくれなかった。金目当ての輩が多い中で、町長代理は 彼のこの真摯な態度を痛く気に入ってしまい、町への功労者への恩義を図り、更にその報酬を上増ししたほどだった。
だから実際のところ、彼の財布の中身は非常に潤っている訳で、この買い物をしたとしても大勢にまったく影響はない。

「はい、確かに百五十ゾルね!ああ、本当によく似合ってるよ。良かったね!その石を持ってるとね、幸せにな
 れるんだよ!」

店主の言葉に、ノリコは頬を赤くする。

「じゃ、行くぞ・・」

財布を仕舞い、そう言ってイザークは歩き出す。慌ててノリコも、店主にペコリと頭を下げると、イザークの後に随った。

「毎度あり!幸せにね、お嬢さん!」


「・・・・・・・・・」

女店主の、親切なのか単なるお節介なのか解からないその言葉に、ノリコは赤くなって言葉も出ない。護り石を買った客には皆一様に同じ言葉を言って いるのかもしれない。それでも、その言葉が頭の中で滑稽なまでにぐるぐる回る。
チラとイザークを見るが、彼はこちらを振り向きもせずそのままスタスタと歩いている。ノリコは何も言えず、ただ彼の後に着いて歩いた。


あの時、抱いて温めてくれたのは、・・・人助けの為・・・・

そして、・・・この飾り石の贈り物も・・・

きっと、彼にとっては何でもない事・・・なんだよね・・・


そんな思いが掠めていった――――



市のはずれにある厩で、イザークは馬を一頭調達する。馬に荷物を載せ、イザークはノリコを呼んだ。

「ノリコ、ほら、馬に乗れ」
「あ・・・・」

言われてノリコは馬に乗ろうとするが、まだまだ慣れないのか、なかなか上手く乗れない。

『よっ!・・・・・え?・・・・きゃっ!!』

何故か掛け声は日本語のままで勢いつけて乗ろうとしたが、勢い余っていつかの時のように反対側に落ちそうになってしまう。 だが、イザークが素早く抱き留めてくれたお陰で、危うく難を逃れた。

『ぷあっ!』
「大丈夫か?ノリコ・・」
「う・・・うん・・・ごめんなさい、イザーク・・」

一旦彼の胸に突っ込んだものの、顔を上げてノリコは謝った。イザークと目と目が合う。ノリコの顔は真っ赤でバツが悪そうだ。

(ああ、また迷惑掛けちゃった・・・ それでなくても、あたしの為に一週間もこの町に足止めさせちゃったの
 に・・・)

「馬を恐がるな、ノリコ・・・慌てずにゆっくり乗れ」
「ぁ・・・うん・・・」

イザークはノリコを乗せると、自分は彼女の後ろにふわりと跨る。

「ご・・ごめんなさい・・・イザーク・・・」
「・・・何を謝る?」

言いながら彼は微笑う。自己嫌悪でノリコの肩は竦んだままだ。

「迷惑ばかり・・・掛けて・・・・・あの・・・」

ノリコの言葉にイザークは苦笑した。手綱を繰り、馬を歩かせる。

「・・あんたの所為じゃない・・・気にするな」
「でも・・・」
「ノリコ、いい事を教えてやろう。・・・俺も最初はよく・・馬から落ちていた・・」
「え?」

ノリコは驚いて後ろを伺う。イザークの表情は、クスリとやや悪戯だ。

「初めは誰も同じだ。・・・そして、慣れれば誰でも問題なく乗れるようになる」
「イザーク・・・」

イザークも馬から落ちた事がある・・・ノリコには想像がつかなかったが、慰めのつもりできっとそう言ったのだろうと考えた。 それでも、彼の気遣いを嬉しく感じる・・・・

「・・・ありがとう・・・イザーク・・・それから、あの、これ・・・あたし・・大事・・・する・・」

飾り石に手を添えながら、ノリコはそう告げた。

ノリコの髪が風にそよぎ、それがイザークの顔にも時折触れた。
彼女の髪の香りが、鼻孔をくすぐり、イザークの心に心地良い風を吹かせる。

「気に入ってくれたのなら、それでいい・・・あんたは頑張ったからな・・・」
「え・・・?」
「だから、その褒美だ・・」
「・・・頑張った・・・褒美?」
「そうだ・・」

彼女が盗賊の男達にも気丈だった事、そしてキナジスの副作用に耐え抜いた事をイザークは言ったのだが、
ノリコには頑張った覚えがまったく無いので、何の事を言っているのかさっぱり解からなかった。


馬は峠へと差し掛かり、そして峠を下れば麓の村を抜けて、次の町・ゼクトまでは一日半の距離だ。
それを過ぎれば、ザーゴの首府に近づく。

この旅の間に決めたノリコの預け先の場所も、その首府に程遠くない町にある。


彼女と過ごす日々も、あとそれ程長くはない事をイザークは思う。

そこに預ければ、彼女の安全をとりあえずは確保出来るし、そして何より彼女とも離れることが出来る・・・・

心に痞えたものも、それできっと晴れるだろう・・・・

そしてまた・・・いつもの生活に戻れるのだと・・・


しかし、何だろうか・・・・

そうしたことに思いを馳せながら、別の何かが心に引っ掛かっていた。

彼女と過ごす事で感じ始めた、今までには味わう事の無かった心地良さ・・・・・

自分にとって、決して・・・認めてはいけないもの・・・・

そして、何も知らない彼女を、そこに置いていく事の罪悪感・・・・

それもまた心に生じ、なにやら別の苦味も掠めていた・・・・


―――離れ・・・られるのか?・・・・―――


誰かにそう囁かれているような気がして、ハッとなる。

離れられるのだろうか・・・

だが・・・・


預け先の旧知の顔が浮かぶ・・・―――


そこに預ければ、きっと、こうした思い煩いも全て無くなるだろう・・・

イザークは無理やりそう思う事にした。


自分の抱える重い枷から逃れる為に・・・

それは、今の自分に選択出来る最大限の譲歩なのだから・・・と・・・―――――――



「イザーク、・・エルギアス、見たの、ある?」

ノリコの不意な質問に、イザークはハッとする。


馬は峠を過ぎていた・・・


「いや、・・ないが・・・」
「あたしもない。・・・けど≪てれびのばんぐみ≫で、ある・・・見たこと」
「・・・≪てれび・・の・・ばんぐみ≫?・・・またおまえの世界の言葉か?」

知らない言葉がノリコの口から出て、イザークは苦笑する。

「うん。こんな、箱みたいな、もの。それで、音、人の姿の絵・・・出るの」
「そいつからエルギアスも出てくるのか?」

イザークには想像もつかない世界だ。

(箱からそんなものが出るとは・・・ノリコの世界とは余程不思議なものがある所なのか・・・?)

「うん。でも、絵・・だけ。あと音。・・・本当に出るのと、違う・・」

ノリコは後ろを伺いながら説明するが、やはりイザークにはよく解からないようだ。
噛み合わない会話をしながらも、馬は進む。

「でね、恐くて・・・あたし、毛布被って・・・それで、見て・・、そしてね・・・」
『・・えっと・・・そして、えっとテレビの効果音と一緒にバーン!って、それが出てきたからもうビックリして・・・あたし
 ギャー!って叫んで・・・それから・・・それから・・・』

・・・・・・・・・・・いつの間にか説明が白熱して、日本語になってしまっている。

知らず、苦笑めいたため息が漏れた。

「・・・・・・・ノリコ・・・何を言ってるのか解からん・・」
「え?・・・あッ!・・・」

「・・・ご、ごめんなさい!」


「・・・・・・もう、いいから、前を向いてろ」
「・・・・・・・・」

恥ずかしさに、冷や汗が滲んだ。



峠の下りを行く・・・――――

こうした不毛の会話にも、我関せず・・・と、馬は二人を乗せたまま、ただ道をひたすら歩く・・・・・




そして・・・空には蒼が輝き、

一対の雲が、まるで仲睦まじげに付かず離れずしながら・・・

風に吹かれ、流れていくのが見えた・・・


「すごい、イザーク・・・空・・・凄く、蒼い・・・きれい・・・・」

空を見上げて、ノリコが呟く。

「ああ・・そうだな・・・」

イザークも同じく空を見上げながら、相槌を打った。



彼の心は本当に晴れるのか・・・ それはイザーク自身にしか解からない・・・


―――離れ・・・られるのか・・・・彼女と・・・・―――


その心に掠める、一抹の想い・・・

そして勿論、そんなイザークの想いに、ノリコは気付く筈もない。

イザークとこれからもずっと共にいられたらいいのに・・・

そんな、女の子らしいささやかな願いが心を満たし、透き通るように輝く蒼い空を見つめる。



だが・・・

イザークの目指している町・・・


それも・・・もうじきだった。




(了)


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++ あとがき ++

お読み下さりありがとうございます。
すっかり、長いのが当たり前のようになってしまったリクエストの小説…
今回も御多分に漏れず長くなってしまいました。
テキストで100KB超え…ぉぃぉぃって感じです。リクでは最長…ですね。(^_^;)ゞ

さて、今回のリクエストの内容ですが、皆さまにはすぐにお解かりになりましたか?
いかがでしょうか?お解かりになった方は、凄いです。

今回のリクエスト内容は………
『ノリコがイルクを初めて見た時、「でっでた〜っ、ゆ〜れ〜」と言っていたと
記憶しているのですが、ノリコが、幽霊という言葉をどういう状況で知り覚えたのか
ちょっと興味あるのでそれを書いてもらえませんか?』
というものでした。

原作本編は、まあ当たり前ですが、日本語も異世界語もどちらも言ってみれば『日本語表記』ですよ。
まあ、読むときにはさらっと読んでしまう言葉でありながら、改めてよく考えてみると
「何処で覚えたのかな」という疑問が出てきますよね。

あの場面から遡って…となりますと、では、イザークさんと旅をしてきた
3桁の日々』の間と言う事になりますな…と思いを巡らし、
単行本2巻と3巻の間(文庫本では1巻と2巻の間)で、なんとか設定を組みました。

ただですね。正直とても難産でございました A^∇^;

「幽霊」という言葉がテーマですから、それが話題に上らなければ話にならず、
じゃあ、それそのものを「出す」か、似たようなもので「話を作る」か…
キャラもどう動かすのが一番良いか、テーマ的にちょっと暗いから、背景も暗めに…
といろいろ考えまして、大まかな枠を作ってみたんです。
ただ、やはりそこからが長かったですよ。

しかもタイトルが、ホント途中まで全然決まらず、「幽霊」の文字を使うか、一文字だけを
取り入れるか…で、途中までは「幽」の文字をタイトルに組み入れていたのですが
いろいろ後から思い浮かんだ言葉を、入れ替えしていったら、
「幽」の文字が無くなり、今のタイトルになりました。
街の雰囲気、人々(といっても出てくる人物は限られてますが…)、「幽霊」を表す言葉、
そして、状況説明などから、ストーリーを感じて頂けますと有難いです。

で、今回途中原稿の変更がありまして、最初は4ページで仕上げたのですが、修正後は5ページに。

そして、今回はイザークさんにも結構動いて頂きました。
甘い時期ではないのでいちゃつく事はさせられない…筈だったんですが、
最初の原稿と修正後では、内容が変わってます。
まあ、いちゃついてるというのではないですが、二人の互いを思い遣る姿を出してみたつもりです。
そして文中イザークさんがノリコちゃんを温めてあげる場面は、
「低体温症」のご要望を後からお受けしまして、それで急遽考えましたエピソードです。

イザークさんには微妙で複雑な気持ちの表れも出ています。
ガーヤのお店に預ける手前の時間軸で描いていますので、微妙ぉ〜な移り変わりを感じてください。

ノリコちゃんについても、イザークさんへの気持ちが随分と出てくるようになったのではないかと思われます。
彼女はいつ頃「イザークが好きだ」とはっきり自覚するのかな〜〜?というのも、書きながら考えてた事でして…
でもまだノリコちゃん自身にも、はっきり好きなんだとは気づいてない…
というのを最初は書くつもりでしたが、これも修正過程で変更〜〜(笑)
でも、まあ、もういい加減、気が付いているでしょう〜と思いまして、それで書く事にしました。
あれで気が付かなかったら、もう鈍感を通り越してます…ね(笑)。。

ああ、でも、頭の中身を入れ替えての今回の原作軸の話… 難しかったけれど、遣り甲斐は凄くありました。
知らなかった事柄についても検索して調べて書いてます。勉強させて頂きました(^^)v
その分思い入れも大きいですよ。

文中に、キャラの台詞で大変に不快になるような言葉が結構出てきます。
引かれる方もあろうかと思います。不快になられましたら、申し訳ございません。
念の為に申しておきますが、管理人は残酷な事は好みませんし、乱暴な行為も嫌いです。
あくまでも場に臨場感を持たせるための手段として用いています。
現実と架空の区別、よろしくお願い致します<(_ _)>

そして、今回初めて、一つの作品に複数の背景画像を使いました。
最初は暗め、で、徐々に明るめのものを入れていきました。心まで晴れそうです。
で、お恥ずかしいですが、初めて拙イラストを入れました。
本当は何枚か描いて入れるつもりだったんですが、何せ時間が無くて一枚のみ…orz
時間を見てまた描き足すかもしれませんが、時期は未定です。

リクエストの依頼をお受けしましたのが、57日です。
別のリクエストもありましたので、初めの1週間は頭の中でドラマ枠を最初考え、
本格的にテキストエディタに書き始めたのは、前リクが上がってからなので、15日以降ですね。
なかなか集中して書き上げられず、出先でノートに走り書きも結構しました。
最初の原稿でお伺いしたのが27日でした。 受けてから実に丸3週間ですよ。一番長かったな…
ですが、その後に修正に入りましたので、更に2週間を要してしまいました。。一番長丁場でございました。

リク元様の、風鈴様にOKを頂きまして、本日upとなります。
ああ、サイトを立ち上げてちょうど3ヶ月の日のupですね。それもまた感慨深いです。
風鈴様、リクエストをどうもありがとうございました<(_ _)>

お読みになったご感想、宜しければ皆さまも是非お寄せ下さいませ。
皆さまのお声が励みになります。
夢霧 拝(06.06.10)

本文の一部に修正を加えました。
夢霧 拝(06.06.19)
素材提供『空色地図』
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